デザイナーHachiが手がけるBALMUNGが2024年春夏コレクションを発表した。タイトルは "DARK GREY KIDS "
今季のBALMUNGは、2024年の時代性として「新宿」にフォーカスする。
近年の歌舞伎町周辺や大久保の若年層のカルチャーやムード、一昔前の原宿が持っていた「大人」が介入してこないような秩序が、このエリアに重なって見えてくることがデザイナーにとって強いインスピレーションとなっている。
またこのエリアは戦後から多くの外国人籍を持つ人々によって営まれてきたという街の歴史もあり、それはまるで原宿がワシントンハイツを始めとした多くのアメリカ人たちによる影響や、「異国情緒感あふれる場所」として親しまれた原宿の背景と重なるように見えることも大きい。
新宿が元々は60年代や70年代にフーテンやフォークゲリラやサイケカルチャーなどで若者とともに大きな盛り上がりを見せていたような時代、60年に建築家の磯崎新によって建てられた建築物である「新宿ホワイトハウス」はアート文脈においてネオダダイズムの日本人アーティストたちと深い関係を持ち、革命芸術家のホワイトハウスとしてスタートした家である。その後は画家の住居兼アトリエとなっていたが2013年にはChim↑Pomのアトリエとなり、そして2021年には新たに「WHITEHOUSE」としてChim↑Pomの卯城竜太、アーティストの涌井智仁、ナオナカムラの中村奈央の3 名によって運営されるアートスペースとなっている場所である。今回BALMUNGが持つ原宿性としてのコンテクストと、このWHITEHOUSEや新宿が持つコンテクスト、それぞれを重ね遊ぶように表現したものをインスタレーション形式で発表した。
『DARK GREY KIDS』と名付けられた今回のタイトルは、現代における都市の狭間のなかで生きる若者たちの自然な自由さ、社会常識や社会道徳の枠からはみ出てしまった危うさ、そこにある独特に築かれた別の秩序のようなものにイメージを求めて名付けられたものであり、暗部のようなものを示唆するイメージでもある。またブランドの表現としての”少年性”を形にするための方向性に向けた言葉でもある。
デザイナーの学生時代から思い入れのあるスウェットのフーディー、パンツには少年の心の揺れを表現したような曲線の切り替えが施される。ブランドのアイデンティティーとも言えるビッグシルエットなTシャツや少年性を象徴するメッシュキャップにはシーズンタイトルでもあるDARK GREY KIDSのワードが踊る。スタイリングではクリーンな白、水色、淡いグレーに黒やダークグレーを織り交ぜ、若者の持つ軽快さと危うさを感じさせる。
大人と子供の間の年代がもつ強さと危うさの二面性を、現代の東京の時代性を掛け合わせながら表現したコレクションとなっている。
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