デザイナー吉田圭佑が手がけるKEISUKEYOSHIDAが2024年春夏コレクションを発表。
今回、デザイナーはパリへと赴き、先シーズンのランウェイショーでスタイリング/ディレクションを手がけたLéopold Duchemin、そしてフォトグラファーのChristina Stolheとともにパリでのシューティングを行なった。
今季のデザインを考える中で、吉田が思索したのが幸せという抽象的な概念。幸せには、常に喪失への不安が影のように付きまとう。幸せであればあるほど、不安も大きくなっていく。そのような考えに端を発したコレクションはアンビバレントなムードを漂わせている。
昨シーズンの象徴的なアイテムであるジャケットの首元を留めるブローチが外れ、胸元がはだけて裏地が心もとなく泳ぐさまを偶然目にした吉田は、意図しない形でデザインが崩れたアンコントロールで曖昧な柔らかさに心地よさを感じ、布が撓むようなシェイプの可能性を探り始めた。
ジャケットやコートの後ろ襟を立て折り紙のように畳み、前身頃も内側に畳み込む。巾を失った前身頃を無理やり留めると胸元に隙間が生まれ、首元やウエスト、肩回りに引き皺が現れる。まろやかでどこか侘しさをも感じさせるこのシェイプは、本コレクションを通じて多用されている。
前後逆さにして襟を折り畳まれ身頃の形状が崩れたシャツは、重力に逆らって凛々しく襟の立ち上がるフォルムが奇妙で、萎びた百合の花弁のような脆く艶めかしい不安定さを放っている。淑女たちが纏っていた鋭い緊張感は萎びて寂し気な色気を帯び、冷たさと温かさ、あるいは質素と華美といった、相反するイメージの間を揺蕩う。
モノトーンで構成されたカラーパレットに新たに加えられたダスティピンク。古いウェディングドレスを解体して作られた、1点もののドレスやパンツ、ビスチェは幸せを表現する一方、黒の喪服を思わせるルックは物憂げで妖しく不安な精神を表現しているように感じられる。 静粛で禁欲的なムードと、祝祭的なムードを併せ持つコレクションは揺れ動くデザイナーの精神を反映しているが、その揺れを躊躇いなく表現することで力強いコレクションに昇華している。
【KEISUKEYOSHIDA 2024S/Sプレオーダーサイト】
【プレオーダー期間】
本日11/26 21:00- 12/3 23:59
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