Maison MIHARA YASUHIROは2023年春夏コレクションをParis Fashion Weekで発表しました。
タイトルは“SUPERFICIAL YOU...”
私は疲れているのかもしれない。
時代の空気の箱に投げ入れられて、いつの間にか蓋をされて閉じ込められた。
不快なこの箱から抜け出したい。実在しない景色でもいい、むしろ表層的であればあるほど今は快い。
軽薄な嘘はあなたの余裕を削り出し、真実の詩を語りはじめる。
実際には存在しない扉や窓などを空間内に描き、見る側を意図的に錯覚させる技法、トロンプ・ルイユ。
デザイナー三原康裕は過剰な情報が猛威を振るい、閉塞感を漂わせ続ける息苦しい現実社会においてファッションは息抜きの1つになることを、トロンプ・ルイユのユーモアを通して表現しました。
Maison MIHARA YASUHIROが得意とするレイヤード/ドッキングの手法が随所に見られ、例えば、前から見た姿からでは分からないようなバックスタイルを作り出しています。
デザイナーが大量生産・固定概念の象徴として好んできたデニム、ミリタリーなどのワークウェアにはエイジングやダメージをはじめとするさまざまな嘘(加工)が見受けられ、トロンプ・ルイユの概念による解釈が随所に施されています。また、ねじれて着ていているように見えるボトムスやシャツも印象的。ハンドペイント風プリントなどアイコニックな表現手法もトロンプ・ルイユと紐付くことで存在意義をさらに高めています。
コレクションの多くには、1950 年代から70 年代にかけてのヴィンテージウェアのディテールを採用。部分的な日焼けやボタン跡、服の折り目や糸がほつれた状態を維持するなど、古着によく見られる風景までを忠実かつ作為的に再現しています。
スニーカーは新モデルのGEORGE がデビューを飾りました。1980 年代後半から90 年代に人気を博したランニングシューズをベースに、粘土で造形したオリジナルソールを搭載しています。
フィナーレにはシャボン玉が舞い、風船を持ったモデルが登場!デザイナー三原康裕は大きな風船の束を持ち、パリでの久々のランウェイを誰よりも喜んでいるように感じられました。
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