Maison MIHARA YASUHIRO 2025年春夏コレクション
- mashroom
- 2024年6月23日
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Maison MIHARA YASUHIRO 2025年春夏コレクションがパリで発表された。タイトルは「PERSONA Part Five 」
表面的、一面的なペルソナの肥大化によって加速する、本質的な人格への無関心。あらゆる事物は表層のみが軽薄に消費され、深層に存在するはずの物語は消失してしまった。
公的なものと私的なものの境界線は融解し、ひとりの人間と共同体の性質が同一化の道を辿る匿名性を保つ仮面が、いつしか人格そのものにすり替わり、見せてはいけないはずの裏側の表情がむき出しになる。そのアイロニカルな様をデザインに投影することから、2025SSコレクションは始まった。
前身頃のみで構成されたMA-1やデニムジャケットは、表層的で奥行きのない人間の表情を映し出す。前後どちらから見ても前身頃のように見える構造のシャツやブルゾンは、フロント/バックという既成概念が破綻した、あるいは破綻以前に形成すらされなくなった時代のムードと結びつく。
2024SSに続くTALKING ABOUT THE ABSTRUCTION(TATA)とのコラボレーションでは、素顔にぺったりと張り付く仮面を想起させる転写プリントによって、その下に潜むデザインの本質を逆説的に浮かび上がらせた。
歪にデフォルメされたソールが際立つ新モデルのスニーカー「SCOTT」と「LARRY」は、メゾンのシンボリックな存在として、揺らぐことのない核心を明快に示している。
デザイナーは見てはいけない、見せてはいけない人間の裏側を表裏一体と化した一つのLOOKの中に閉じ込めて見せることで、現代SNS社会へのアイロニーを表現したコレクションを披露した。
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