rurumu:が2021年秋冬コレクション"solitary witches(孤高の魔女たち)"を初のランウェイショーで発表しました。コレクションでは魔女の儀式サバトをモチーフに少女性と魔女性を有した女性像を作り出しました。また、現代にいる魔女を名乗る人たちが自分たちを愛する、自分の気持ちを高めるために行う魔法をインスピレーションに、自分を肯定して自分を愛することができるポジティブな感情をコレクションでは表現しました。
rurumu:はデザイナー東佳苗が2019年春夏シーズンに立ち上げたブランド
2009年から縷縷夢兎(るるむう)としてハンドニットの一点物の製作や衣装デザインなどの活動をしてきたデザイナーの東佳苗。大森靖子やでんぱ組.incの衣装に代表される、これまでニットで表現されてこなかったガーリーでありながら、どこか退廃的なムードを醸し出す作品は女の子たちから熱狂的な支持を集めました。
私が初めて佳苗さん、というか佳苗ちゃんに会ったのは、2014年。場所は中野ブロードウェイというサブカルの聖地に突如出現したサブカル×ファッションをテーマとした先鋭的セレクトショップ。オーナーは、今や東京ファッションを牽引するブランドとなったBALMUNG、HATRA、BODYSONG.などを見出した人物で、彼を取材するタイミングで縷縷夢兎の作品と共に紹介されたのが最初の出会いでした。その時はハンドメイドで可愛いニットを編んでいる女の子というような印象でしたが、そこから彼女や彼女の作品に次第に注目していくようになります。
彼女が開催する個展に足を運んだり、シブカル祭という当時渋谷PARCOで定期的に開催されていた女性クリエイターの祭典でのファッションショーを見に行ったり。
展示会やショーなど彼女が作り出す空間は、女子校の秘密の世界のように、男子禁制の雰囲気が漂っていて、男の私はいつも気配を殺すように作品を見ていました。
大森靖子やでんぱ組.incの衣装を彼女が手がけるようになって一気に注目度も増し、数々のメディアが彼女を取り上げるようになりました。ファンも加速度的に増えていった印象ですが、如何せん縷縷夢兎はハンドメイドゆえ、生産数が少なく、ほとんどの人は手にすることが出来ない。写真やSNSだけで存在する憧れのブランドという状態でした。
そういった状態が長らく続いて、その間、アーティストの衣装デザイン、舞台などの空間演出、そして映画監督と活躍の場を広げていった佳苗ちゃん。映画を撮っている時期には「もうファッションじゃないかも」という話も聞いたりして、実際その当時縷縷夢兎にはファッションではなく、ガールズカルチャーの側面を強く感じていました。
もうファッションに興味がないのかな、と思っていた矢先に彼女が発表したのがブランド「rurumu:」。実際に着てくれる人にもっとアイテムを届けたいという彼女の想いから量産できるような体制をとって運営するブランドです。
「縷縷夢兎」に憧れていたファンが長らく待ち望んでいた、実際に着れるという、洋服にとって当たり前だけど、縷縷夢兎とは縁遠かったことがついに実現されて、私は正直驚きました。縷縷夢兎が、佳苗ちゃんがそういうふうに考えていると思ってなかったというのがその理由ですが、実際ブランドがスタートすると、縷縷夢兎で培ってきたガーリーな側面とパンクな精神性を保ちながら、女の子が着てヒロインになれるような高揚感を感じられる服に仕上がっていて、長い時間をかけて「縷縷夢兎」をファッションに昇華したんだと感じました。
「縷縷夢兎」から「rurumu:」へ。サブカルチャーからファッションとして、多くの女の子を勇気づける存在へ。今回のショーで東京ファッションのセンターステージに躍り出た「rurumu:」は、また新たな層に広がることでしょう。
「るるむう、いいよね」とファッションの世界の人に言われたら、「そんなのとっくに知ってたよ」と心の中でだけ言っておこうと思います。
2014年10月 渋谷PARCOシブカル祭での縷縷夢兎ファッションショー
2015年8月 縷縷夢兎 First Exhibition "MUSE"
2015年10月 池袋PARCOでのイベント参加
2016年11月 縷縷夢兎 2nd Exhibition "PLAYHOUSE"
2018年2月 縷縷夢兎 3rd Exhibition "YOURS"
2018年11月 rurumu: 2019S/S デビューコレクション
2019年2月 母校である文化服装学院での縷縷夢兎 Costume Exhibition
2019年5月 rurumu: 2019A/W コレクション
2019年11月 rurumu: 2020S/S コレクション
2020年10月 rurumu: 2021S/S コレクション
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